大震災から1年が過ぎた三陸沿岸の石巻市、女川町、南三陸町を巡ってきました。▼瓦礫は市街地からほぼ姿を消したものの集積所にうず高く積まれたまま。ようやく動き出した政府や自治体の瓦礫受け入れが順調に進むことを祈るばかりです。▼この一年何度となく足を運んだ石巻では仮設住宅の駐車場に中古の軽自動車が並び、暮らしに落ち着きも見られるようになりました。▼しかし、津波で家の土台をも根こそぎさらわれた沿岸の市街地は、満潮になると海水に洗われ家屋や店舗の再建はままなりません。幾つかの地域では高台への移転計画が動き始めましたが、鉄道の線路は錆びつき、踏切にはロープが張られたまま。海岸線には土嚢とブルーシートを組み合わせただけの堤防が延々と続いています。
▼鉄骨だけが残る南三陸町の「防災庁舎」にはお彼岸ということもあって花や折鶴、果物などを供えて合掌する人々の姿がありました。女川町では高台の小学校の一角に建つプレハブの仮庁舎で職員が忙しそうに執務。玄関の壁には香川県観音寺市の自衛隊員らの「復興」「負けるな」の寄せ書きの旗が掲げられていました。▼いまだ小雪が舞う被災地にもやがて春が訪れます。▼土地利用計画や産業再生の道筋などを盛り込んだ創造的な復興プランの早期策定と、柔軟かつ集中的な計画の実行が待たれます。